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仁甄漫画の続き。
漫画で描く気がしないので文字で。
漫画で描く気がしないので文字で。
■あらすじ■
曹殖と甄姫ができていると誤解した曹丕は、それから甄姫を疎むようになる。
曹丕の寵愛を失った甄姫は肩身の狭い立場に追い込まれたばかりか、曹丕が病にかかったのは袁家の呪いのせいだと難癖をつけられ、国を追い出される事になった。
付き添いの者はほんの僅かである。
曹丕の寵愛を失ってしまってからは信頼していた侍女達も甄姫から離れてしまった。
見送りの者は一人もいない。甄姫は数人の従者たちと城を後にする。
■花に嵐■
甄姫は自分の美しさを理解している。
美しさゆえに人が味わえないような贅沢も、恐怖も、悲しみも味わった。
どんな立場になろうとも、それは変わらない事実。
これからも先もきっと平凡なんて訪れない。
甄姫の白い足が、一歩一歩、城から遠ざかる。
「甄姫殿!!」
聞き慣れた声に振り向くと、甄姫の視界に曹仁が映る。
甄姫は曹仁の姿を見るといっそう悲しくなった。
曹仁は甄姫の元に走り寄る。
甄姫は慌てて「いけません」と声をかけた。
「貴方まで咎を受けてしまいますわ」と甄姫は淋しそうに笑う。
「構いません」と曹仁は呟く。
「自分は、咎を受けても仕方ない…後ろめたい想いを、貴方に、抱いております」と切れ切れ、伝える。
甄姫は俯いた曹仁の姿を見つめた。
ならば曹仁様も一緒に遠くに逃げましょう、と喉まで出かかった。
そう言えなかったのは、曹仁が曹操の代から忠実に魏に仕えて来たのを、甄姫が1番よく知っていたからだ。
曹丕も曹仁にとってみれば甥に当たる。
それを捨てて、離縁した甥の嫁に付き従う?
曹仁を慕うからこそ、そんな事、口が裂けても言えない。
お互い目を合わせるが言葉がでてこない。
ふと、曹仁が手に持った箱が甄姫の目に入った。
「その靴では、長い道のりを歩けないでしょう」
曹仁は箱を明ける。
その箱の中には甄姫が履いた事のない、スニーカーが入っていた。
甄姫はふっと笑って「わたくしはそのような靴を履いた事がありません、履かせてくださいませんか?」と言う。
曹仁はこくりと頷くと甄姫を大きな石の上に座らせた。
曹仁のゴツゴツとした手が白い、甄姫の足に触れる。
スルッとヒールの高い靴を奪うとスニーカーを履かせ、紐を結ぶ。
紐を結ぶ手が、あの時のように震え、お世辞にも手際がいいとは言えない。
曹仁様、と甄姫が声をかける。
顔を上げてください。
甄姫がそう言うと、一層曹仁の手が震えた。
勘弁してください。
声まで震えていた。
「そのような事、しなくても、私はもう、」
「曹仁様」
「貴方は、酷い、女性だ、自分の、気持ちを、知っていながら、」
「顔を、顔を、私に見せてください」
「曹仁様」
曹仁がそっと顔をあげる。
時が止まった気がした。
見つめていれば曹仁の心を奪えると、そう思っていたのはいつの日か。
心を奪われたのは甄姫の方だった。
靴紐を結び終えた曹仁の手が、甄姫から離れる。
「貴方から頂いた初めての贈り物が、こんな形になるとは思っても見ませんでしたわ」
甄姫は笑うが曹仁は何も答えない。
「では」と曹仁は後ろを向き、城内に戻って行く。
曹仁の姿が少しずつ小さくなっていく。
コツッ!
曹仁の頭に何かが当たった。
何が起こったのかと、頭に当たったものを拾いあげるとヒールの高い靴。
投げた主を見ると、遠目でもわかるほどに、泣き崩れている。
「曹仁様の馬鹿!鈍感!堅物!」
甄姫は子供の喧嘩のように泣きじゃくりながら暴言を吐く。
「甄姫殿」
曹仁が再び、甄姫の元に近づく。
「……んな……のです……」
「え?」
甄姫の鼻声が酷くて曹仁には言葉が聞き取れない。
「…そんな靴…もう必要ないのです……」
曹仁には甄姫の言葉の真意がわからない。
「貴方が…側にいてくださらないのなら…そんな靴履く意味など…」
「甄姫殿……」
曹仁は甄姫の靴を握り締める。
「……ならばこの靴は自分が預かっておきます。そしてまたこの靴が必要になった時は、自分が貴方の元へ返しに参りましょう……」
甄姫は目を丸くして曹仁を見た。
甄姫の目から新しい涙がボロボロと流れる。
「きっと」
曹仁の声が甄姫の頭に響き渡る。
さよならだけが人生ならば また来る春は何だろう
はるかなる地の果てに咲いている 野の百合は何だろう
曹殖と甄姫ができていると誤解した曹丕は、それから甄姫を疎むようになる。
曹丕の寵愛を失った甄姫は肩身の狭い立場に追い込まれたばかりか、曹丕が病にかかったのは袁家の呪いのせいだと難癖をつけられ、国を追い出される事になった。
付き添いの者はほんの僅かである。
曹丕の寵愛を失ってしまってからは信頼していた侍女達も甄姫から離れてしまった。
見送りの者は一人もいない。甄姫は数人の従者たちと城を後にする。
■花に嵐■
甄姫は自分の美しさを理解している。
美しさゆえに人が味わえないような贅沢も、恐怖も、悲しみも味わった。
どんな立場になろうとも、それは変わらない事実。
これからも先もきっと平凡なんて訪れない。
甄姫の白い足が、一歩一歩、城から遠ざかる。
「甄姫殿!!」
聞き慣れた声に振り向くと、甄姫の視界に曹仁が映る。
甄姫は曹仁の姿を見るといっそう悲しくなった。
曹仁は甄姫の元に走り寄る。
甄姫は慌てて「いけません」と声をかけた。
「貴方まで咎を受けてしまいますわ」と甄姫は淋しそうに笑う。
「構いません」と曹仁は呟く。
「自分は、咎を受けても仕方ない…後ろめたい想いを、貴方に、抱いております」と切れ切れ、伝える。
甄姫は俯いた曹仁の姿を見つめた。
ならば曹仁様も一緒に遠くに逃げましょう、と喉まで出かかった。
そう言えなかったのは、曹仁が曹操の代から忠実に魏に仕えて来たのを、甄姫が1番よく知っていたからだ。
曹丕も曹仁にとってみれば甥に当たる。
それを捨てて、離縁した甥の嫁に付き従う?
曹仁を慕うからこそ、そんな事、口が裂けても言えない。
お互い目を合わせるが言葉がでてこない。
ふと、曹仁が手に持った箱が甄姫の目に入った。
「その靴では、長い道のりを歩けないでしょう」
曹仁は箱を明ける。
その箱の中には甄姫が履いた事のない、スニーカーが入っていた。
甄姫はふっと笑って「わたくしはそのような靴を履いた事がありません、履かせてくださいませんか?」と言う。
曹仁はこくりと頷くと甄姫を大きな石の上に座らせた。
曹仁のゴツゴツとした手が白い、甄姫の足に触れる。
スルッとヒールの高い靴を奪うとスニーカーを履かせ、紐を結ぶ。
紐を結ぶ手が、あの時のように震え、お世辞にも手際がいいとは言えない。
曹仁様、と甄姫が声をかける。
顔を上げてください。
甄姫がそう言うと、一層曹仁の手が震えた。
勘弁してください。
声まで震えていた。
「そのような事、しなくても、私はもう、」
「曹仁様」
「貴方は、酷い、女性だ、自分の、気持ちを、知っていながら、」
「顔を、顔を、私に見せてください」
「曹仁様」
曹仁がそっと顔をあげる。
時が止まった気がした。
見つめていれば曹仁の心を奪えると、そう思っていたのはいつの日か。
心を奪われたのは甄姫の方だった。
靴紐を結び終えた曹仁の手が、甄姫から離れる。
「貴方から頂いた初めての贈り物が、こんな形になるとは思っても見ませんでしたわ」
甄姫は笑うが曹仁は何も答えない。
「では」と曹仁は後ろを向き、城内に戻って行く。
曹仁の姿が少しずつ小さくなっていく。
コツッ!
曹仁の頭に何かが当たった。
何が起こったのかと、頭に当たったものを拾いあげるとヒールの高い靴。
投げた主を見ると、遠目でもわかるほどに、泣き崩れている。
「曹仁様の馬鹿!鈍感!堅物!」
甄姫は子供の喧嘩のように泣きじゃくりながら暴言を吐く。
「甄姫殿」
曹仁が再び、甄姫の元に近づく。
「……んな……のです……」
「え?」
甄姫の鼻声が酷くて曹仁には言葉が聞き取れない。
「…そんな靴…もう必要ないのです……」
曹仁には甄姫の言葉の真意がわからない。
「貴方が…側にいてくださらないのなら…そんな靴履く意味など…」
「甄姫殿……」
曹仁は甄姫の靴を握り締める。
「……ならばこの靴は自分が預かっておきます。そしてまたこの靴が必要になった時は、自分が貴方の元へ返しに参りましょう……」
甄姫は目を丸くして曹仁を見た。
甄姫の目から新しい涙がボロボロと流れる。
「きっと」
曹仁の声が甄姫の頭に響き渡る。
さよならだけが人生ならば また来る春は何だろう
はるかなる地の果てに咲いている 野の百合は何だろう
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